微小粒子状物質(PM2.5)は、中国の大気汚染をきっかけに世に大きく知られることになった。PM2.5は、きわめて小さく吸い込むと肺の奥まで入りやすく、肺がんやぜん息を引き起こすリスクがある。アメリカのEnvironmental Protection Agency(EPA,米環境保護庁)でも、5年に1回環境基準の見直しを行い、昨年3月、年平均15μg/m3から12μg/m3に強化した。日本でも環境省は、注意を要する暫定的な指針値を、「1日平均で1立方メートルあたり70μg」、環境基準値の2倍とした。環境基準や指針値を設け、大気中へのPM2.5の排出を抑えるためには、排出源への対策対処が不可欠である。排出源の一つである都市ごみ焼却炉への対策は、集塵装置(バグフィルター)を備えれば99・9%捕獲できるという発表(1)などもあり、知見に寄れば、具体的な対策は取られてこなかった。しかし都市ごみ焼却炉を有する市町村の清掃工場の周辺では、児童・生徒のぜん息が多発している箇所があり、都市ごみ焼却炉によるぜん息への影響を考えたい。