抄録
本研究ではガスエンジン排ガスを用いた促進エージングによる焼却灰有効利用技術に注目した。これは、灰温度が300-400℃になるように主灰をガスエンジン排ガスに曝し、重金属の溶出を抑制させる現象を指す。先行の研究では、促進エージングに伴って重金属の中でも特に鉛の溶出量が低下することが確認されているが、そのメカニズムは完全には明らかにされていない。そこで、本研究では促進エージングによる主灰中鉛の不溶化機構を明らかにすることを目的とした。分析の結果、主灰の有効利用は300℃、気固比4kg-排ガス/kg-主灰の条件で促進エージングを行い処理後に1mm以上に分級することにより可能であることが分かった。また、促進エージングに伴い主灰中鉛は炭酸塩だけでなく比較的難溶性の鉱物種に取り込まれることで安定化している可能性が示された。