抄録
廃棄物系バイオマスの地域的な資源循環について、事業の計画・実施における戦略的視点からの考察や研究は十分なされてこなかった。これまで著者らは事業における諸活動を「構想・計画」、「組織・人材」、「実践・認識」、および「交渉・調整」の4類型に分類した。資源循環の分野、特に地域的な資源循環の取り組みにおいては「構想・計画」の活動のみが戦略として提示されることがあるが、実際の事例においては、当初の構想・計画どおりには進まない状況が少なくない。そこで、本研究では、地域的な資源循環に対して「実践・認識」などの活動類型も含めたより広範な戦略の適用を検討した。主導する主体が異なる3つの地域的バイオマス資源循環事業の事例の関係主体にヒアリング調査を実施し、様々な関係主体による様々な活動の経緯を分析し、それらの結果をふまえて事業の確実な開始と持続的な運用を可能にする要件を考察した。