抄録
本研究は,ごみ出しが困難な高齢者に対する支援制度を「公助」と「共助」の観点から類型化し,事例調査と全国自治体を対象としたアンケート調査から,各制度の取組み状況や特徴を明らかにすることを目的とした。自治体が直接,高齢者世帯から戸別回収する「公助型」と,行政がごみ出し支援を行う自治会等に補助金を支給し,共助を促す「公助+共助型」の制度を比較すると,「公助型」では高齢者が支援を受ける機会の公平性が担保されているのに対して,「公助+共助型」では行政コストが抑えられることや,地域の繋がりの醸成による他分野への副次的効果が期待されることが明らかとなった。自治体が新しく制度を導入する場合や,既存の取組みの改善を行う場合には,こうした各制度の特徴を理解した上で,既存の廃棄物管理体制や地域条件と照らして,最適な制度を構築する必要があることを指摘した。