抄録
ごみ焼却施設における燃焼および発電量の安定化のため、焼却炉に投入するごみの均質化が重要であることは経験的な知見として広く知られていることである。それゆえ、ごみ焼却施設ではごみクレーン自動運転システムを用いたピット内のごみの撹拌が行われている。本研究では、ごみクレーン自動運転システムの改良に取り組み、ごみピット内のごみの情報を3次元的に蓄積・表示するごみピット3次元マップ技術を開発し、さらにこの技術を応用した新しいごみクレーン自動運転機能を付加した。改良したごみクレーン自動運転システムを用いて、藤ヶ谷清掃センター(定格ごみ焼却量117.5t/day×2炉、発生蒸気量12.1t/h/炉(基準ごみ7.5MJ/kg))にてその運用効果について検証した。その結果、実証運転期間の発生蒸気量落込み時間(発生蒸気量PVがSVよりも10%以上減少している時間)は実証運転前と比べ44%削減できたことから、十分なごみの撹拌が燃焼の安定に繋がるということを実証した。