現在、日本国内では石綿の使用が禁止されているが、石綿含有建材は未だ建築物内に残存している。
本研究では、住宅解体と屋根交換をモデル化することで、化粧スレート中の石綿ストック量の推移を推定した。住宅解体・屋根交換が行われる確率と経過年の関係や、交換の際の屋根材選択を表したベイズ統計モデルのパラメータを、アンケート調査の結果から推定した。推定結果を用いて、スレート中の石綿ストック量・排出量の推移を推定した。
推定の結果、石綿ストック量は2059年には約17万トンにまで減少すると予測され、そのうち金属屋根が上から被せられたものが約3割を占めると推定された。石綿排出量は2030年にピークに達し、その後減少を続けると推定された。そのうち、金属で覆われたスレートからの石綿排出量は年々増加し、2059年には全体の約25%を占めると推定された。
推定結果より、屋根交換にも注目することの重要性が明らかとなった。