感染性廃棄物の発熱量の把握のため、産業廃棄物焼却施設の熱収支を算出した。まず、焼却炉出口燃焼ガスの組成を、煙突排ガスの組成や排ガス処理設備でのガス増減量から算出した。次に、得られた炉出口ガスの組成と、炉出口ガスの温度および比熱から炉出口ガスの保有熱量を求め、ここから廃棄物焼却による発生熱量を算出した。得られた発生熱量と廃棄物の焼却速度から、廃棄物(感染性廃棄物とピットごみの和)の低位発熱量は24200kJ/kgと算出された。さらに、ピットごみの低位発熱量について検討し、ピットごみ由来の発生熱量を差し引いたところ、感染性廃棄物の低位発熱量として22800〜33700kJ/kgという値が推定された。この値は、家庭ごみ中のプラスチック類(含水率16%)の低位発熱量の報告値(28908kJ/kg)に近いことから、感染性廃棄物中のプラスチック類の比率は高いことが示唆された。