プラスチックは日本では年間約1000万トンが生産される流通量の多い素材であり、うち約900万トンが廃棄されている。本研究ではプラスチックの種類の違いが廃棄物焼却の際に発生する芳香族有機塩素化合物生成にどのような影響をもたらすかを調べるために、実際の廃棄物焼却を模擬した実験を行った。無機塩素の塩化ナトリウムを添加した塩素を含まない4種類のプラスチック、および塩素を含む2種類のプラスチックの焼却試験を行い、発生したクロロベンゼン類(CBzs)およびポリ塩化ビフェニル類(PCBs)の定量分析を行った。CBzsおよびPCBsが、分析対象とした排ガス、焼却残渣、壁面付着物およびグラスウールの3 種類の媒体(検出媒体)のどこから検出されたのか(分配傾向)と検出媒体ごとのCBzsおよびPCBsの平均塩素化数を求めたところ、プラスチックの種類によって異なる傾向を示した。