産業廃棄物は排出地からその域内・域外を移動して、中間処理で資源回収や、減量、無害化された後に、再生利用先や最終処分地へと向かう。この物流の実態を捉え、それが生ずる要因を分析し、産業廃棄物市場の構造を示すことは、処理業者にとっては需要予測、排出事業者にとっては経済的な処分先の選択、行政にとっては不適正な処理処分の監視などに有効である。発表者らは、排出事業者および処分業者から自治体へ提出される行政報告に登載されている情報を用いて、各排出事業場から発生した産業廃棄物の中間処理、最終処分または再利用先までの物流を紐付けしたフローデータの整備を行ってきた。今回は、ある自治体で整備したデータベースに処理料金データを付加し、産業廃棄物の物流すなわち地理的な物質フローを描き出し、物流が生ずる要因について分析した結果について報告する。