抄録
小売国際化研究は1990年代以降理論的課題の提示と分析モデル構築という概念化段階に達した。矢作(2007)は、日米欧韓の小売企業の東アジアでの小売事業モデルの現地化のケースをつみあげることにより、初期参入段階を踏まえた上での現地化段階での戦略パターン解明をグローバル統合段階をも意識しながら行っている。本研究は矢作(2007)とは手法が異なるが、矢作(2007)の枠組みに依拠し、世界最大の売上高を誇り、更なる国際展開を進め、現地化段階からグローバル統合段階を目指しつつある、ウォルマートのラテンアメリカ地域、特にメキシコ市場での低所得階層を主要標的とするボデーガ業態の開発を主要分析対象とした。新規業態開発志向の現地化戦略に関して解明を試み、創造的な連続適応型の新規業態開発志向現地化の成功事例として位置づけた。