大都市圏で小売吸引力モデルを用い買物目的地選択行動を分析した場合、距離抵抗のパラメターλの推定値が異常な値を取ることが多い。本研究ではこの原因を消費者の居住地から目的地の商業集積に至るまでに介在する別の商業集積の「通り過ぎられない効果（フロー阻止効果）」にあると考え、フロー阻止効果に関する6つの仮説を導出し、検証のために「フロー阻止効果モデル」「フロー阻止効果―固有魅力度・ハイブリッド・モデル」を構築し、実証研究を行った。仮説は全て支持され、フロー阻止効果の存在が確認され、フロー阻止効果と弁別されたλの推定値は大都市圏でも適切な値となり、モデル適合度が高くなることが確認された。また、発展形である「品目間異質フロー阻止効果―固有魅力度ハイブリッド・モデル」が最も適合度の高いモデルであることが確かめられ、商圏予測、商業集積診断への応用が検討された。