2016 年 18 巻 1 号 p. 55-78
本論は,市場情報を獲得する費用,すなわち探索費用を節約するという観点からフランチャイズ店と直営店の選択メカニズムを理論的・経験的に検討する。具体的には,まず探索-活用モデルを援用して,フランチャイジーが知識を探査・発見するプロセスを検討し,2 つの仮説を設定する。次に,仮説の経験的妥当性を吟味するために,パネルデータを用いて,トービットモデル,操作変数法,および変量効果モデルを用いて推計を行う。実証分析の結果,探索費用が禁止的に高いような,(1) 「市場の異質性」が高い場合と,(2) 「市場の変動性」が高い場合に,「フランチャイズ店比率」が高いということが見出される。