2016 年 18 巻 2 号 p. 77-99
東南アジアをひとつの消費市場として捉える小売企業の参入が相次ぎ、日系小売企業にとっても東南アジアの重要性は高まってきている。では、東南アジアに進出する外資系小売企業は、どのように進出先市場にアプローチしているのか。本研究では研究対象を東南アジアにおける食品・日用品小売市場に限定して検討する。まず小売業の国際化戦略の研究領域で議論されている標準化と現地化という従来の分類と、地域化(リージョナリゼーション)という従来とは異なる考え方を整理したうえで、リージョナル戦略モデルを検討する。次に東南アジアを中心に国際展開する外資系小売企業を「東南アジアリージョナル小売企業」と位置付けるとともに、その代表的小売企業グループの東南アジア展開を概観する。そのうえで、彼らが競合関係となってぶつかり合っているベトナム市場を取り上げ、同市場における彼らの国際展開の特徴について、リージョナル戦略の観点から検討する。