2017 年 20 巻 1 号 p. 43-67
本稿の目的は、マーケティング活動の様々な職能への分散という実態が市場志向の組織プロセスにどのような影響を与えるか検討することである。具体的には、マーケティングの主要な意思決定に対してマーケティング職能が強い影響力を持つことと職能横断的な影響力の分散が市場志向の組織プロセスに及ぼす効果と、その効果に市場変化の激しさがもたらす調整効果に関して検討を行い、質問票調査の手法を用いて分析を行った。その結果、マーケティング職能が強い影響力を持つことは市場志向の組織プロセスを常に促進する一方で、様々な職能が同等に影響力を持つことの効果は市場変化の激しさに依存することが明らかとなった。市場変化が激しい状況下においては、マーケティング職能の影響力と職能横断的な影響力の分散の両方が同時に市場志向の組織プロセスを促進するため、適切に両者のバランスをとることの重要性が示唆される。