2018 年 21 巻 1 号 p. 13-28
本稿の目的は,便益遅延型サービスのサービス・デリバリー・プロセスにおける便益,顧客参加,顧客満足の関係の変化を考察することである。実証分析の結果,デリバリー・プロセスの初期・中期・後期段階において満足モデルの構造が変化していることが明らかになった。顧客参加と顧客満足は初期段階では影響しないが,中期段階では顧客参加が顧客満足に影響し,後期段階では顧客満足が顧客参加に影響しており,プロセスの進展とともに顧客参加と顧客満足の関係が変化していた。また,プロセス全般を通じて顧客満足には価値観的便益が影響していたが,顧客参加には各段階において影響する要素が異なっていた。各段階における価値観的便益,感情的便益の役割が異なることも示唆された。