2018 年 21 巻 1 号 p. 91-107
チェーン型小売企業は,異なる複数の商圏で販売活動を行っており,利益を最大化させる価格・プロモーション戦略の構築のために,バイヤーは個別消費者の特性に加えて,製品トレンド等についても理解しなければならない。本研究の目的は,知識探索のためのITの利用,外部ビジネス・プロセスの統合,価格・プロモーション戦略の共通化が経営成果に与える影響を明らかにすることである。チェーン型小売企業を対象とした質問紙調査と分析の結果,価格戦略の共通化は経営成果に負の影響を与え,プロモーション戦略の共通化は正の影響を与えることが明らかになった。さらに,外部ビジネス・プロセスの統合は,知識探索のためのITの利用と価格・プロモーション戦略の共通化の関係を正に調整することが明らかになった。本研究の貢献は,2つの異なる知識探索経路が,価格・プロモーション戦略の共通化に対して補完的に影響することを明らかにした点である。