抄録
第1報の結果より、幼虫採集では採集されるAnopheles gambiae s.s.の個体数が極めて少ないことが分かったため、親人性の高いAn. gambiae s.s.が多く存在すると思われる家屋内での吸血成虫の採集を試みた。採集は過去の調査により成虫採集数の多かった2地区(NyaroyaおよびNyandago)を選択し、2009年10月から12月にかけて実施した。早朝(夜明け直後)に採集地区に赴き、各家屋につき3人のスタッフが20-30分かけて室内に休止している成虫を電動吸虫管で吸引し採集を行った。調査した時期が小雨期に入る前だったためか採集成虫数は少なかったが、25カ所の家屋から総数117頭が採集された。内訳はAn. arabiensisが最も多く101頭(うち産卵雌40頭)、ついでAn. funestusが14頭(うち産卵雌10頭)であった。An. gambiae s.s.の数は成虫採集によっても少なく、1頭に留まった。
採集した吸血雌成虫については、少量の水を入れ濾紙を内側に巻いた20mLのガラスバイアルに閉じ込めて産卵させた。さらに採集成虫については、PCR法によって種を同定し、さらにダイレクト・シークエンス法によりkdr因子(DIIS6におけるL1014S変異)の有無を調べた。採集成虫より得られた次世代については、d-アレスリンによる幼虫の感受性試験(Kawada et al. 2008, 2009に準じた方法)と、WHOキットによるペルメトリンとDDTに対する成虫の感受性試験を実施した。今回は、上記の方法によって得られたAn. arabiensisおよびAn. funestus次世代幼虫および成虫のピレスロイドに対する感受性調査結果について報告する。