抄録
目的
障害者自立支援法施行直後の各病院の状況を把握し、問題の収集と分析を行い、今後の病棟運営に寄与する資料を作成する。
方法
基礎データとして平成21年11月1日現在の年齢構成、超重症児・強度行動障害スコア等。自立支援法関係では契約状況、措置状況、後見人、未収金等に関する調査を実施し、集計分析と問題点の抽出を行う。
結果
全施設から回答を得た。利用者総数は7,376名、40-44歳群が最頻値であった。超重症児スコア10-24点1,005名、25点以上842名、人工呼吸器24時間装着者数は306名であった。契約状況は20歳未満では「親」602名(73.59%)、「措置」302名(24.82%)、20歳以上では「後見人」5,979名(92.62%)、「措置」1.51%であった。措置理由は「家庭事情による措置」が20歳未満61.08%、20歳以上47.47%と多く、そのため措置解除については見込みなしが大半であった。複数後見人は1.69%であった。支払い状況は20歳未満12.56% 、20歳以上3.86% が未納であり、累積額は1億2千万円であった。
結論
今回調査で40歳以上が過半数を占める事、超重症児スコアでは1/4は準・超重症児である事が判り、濃厚な医療ケアを必要とする利用者と長期利用者の二層化が更に進むものと考えられる。支援法関係では、20歳未満の1/4が措置であり前年度より微増しており、それに伴って完納率も微増傾向であったが、未収金の累計額は1億円を超えており、契約から措置に移行したケースの徴収が滞っているものと思われる。複数後見人は2%に満たず後見人の大半が親であることから、近い将来対応を迫られる課題と考える。後見人については未払いによる変更実態等を加えた調査が今後とも必要と考える。