日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P1044 ミトン使用に対する看護師の意識の変化
−症例カンファレンスを通して−
児玉 昌洋長友 松江小原 美和子鶴丸 洋子
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2011 年 36 巻 2 号 p. 336

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抄録

はじめに 私たち看護師は「患者が危険にさらされているときは人々を保護し安全を確保する」責務がある。当病棟でも、栄養チューブ抜去の防止、指しゃぶり、自傷行為による皮膚トラブル防止の理由から安全確保のためにミトンを使用している。これまで、抑制については、看護者の身体的拘束時に対するジレンマや、看護実践の工夫等が明らかにされている。 今回、ミトンを使用している患者10名の症例カンファレンスを行った過程で、看護師に倫理面を配慮した意識の変化がみられたので報告する。 目的 ミトン使用患者の症例カンファレンスを行う過程で、看護師の意識の変化を明らかにする。 結果 アンケート調査で、看護師の9割がミトン使用は抑制の一つであると感じ、倫理面に問題意識を持ちながらも安全確保を優先している。そこでカンファレンスを通し、ミトン使用は最善の方法であるか検討した。その中で、「安全のために必要」との意見が多かったが、回数を重ねた結果、ミトンをどうすれば外せるか患者の立場に立った意見が出てきた。そこで、問題点を分析し、玩具を手に持たせる、体位工夫を行う、観察を頻回に行う等個々の計画を立案し、結果10名の使用患者から9名外すことができた。 考察 「安全のために必要」とミトン使用していた看護師の意識が、カンファレンスで患者の立場で、行動の意味を考え、検討を繰り返したことで、「ミトンを使用せずに、どうすれば安全を確保できるか」という意識の変化につながった。また、患者の手の自由をとり戻し、不眠の解消、自傷行為や皮膚トラブルの軽減につながったと考える。このことは、患者の手の動きの自由を取り戻すなど抑制除去につながったと考える。 まとめ 1.カンファレンス回数を重ねることが、看護師の意識の変化につながった。 2.「安全のために必要」と考えて使用するミトンも、患者の自傷行為、ストレスの要因となる。

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© 2011 日本重症心身障害学会
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