日本重症心身障害学会誌
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P2029 温蔵庫による適温給食の取り組みのために
目原 栄子東 明美
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2011 年 36 巻 2 号 p. 352

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抄録
はじめに 当園では温冷配膳車の導入による適温配膳を行っている。しかし、食事介助を行っているときに入所者が熱そうな表情をすることがあった。そこで喫食開始時の食事の温度が天候、病棟の室温などにどう影響するのかを目的として調査を行った。 方法 2010年12月〜2011年4月の5カ月間にわたり10日に1回3名を対象として調査した。まず温冷配膳車に入れた時刻と、温度設定60℃完了時の主食(軟飯)の中心温度(以下、配膳庫内温度)の計測を行った。病棟運搬後、配膳時刻と喫食開始時刻と温度(以下、喫食時温度)を計測し、同時に天候、暖房の有無、厨房内室温、病棟室温を記録した。また、利用者、介助者への聞き取り調査を行った。 結果 喫食時の温度に1名は「満足」であり、他の2名も抵抗がなく食べていた。介助者からはおぼんや器の裏底にやや熱さを感じるが試食したらぬるいぐらいで介助される方は直接口に入れられるので現状の温度でも安心して介助できると意見があり適温と言える結果となった。 しかし、3名の15回分の喫食時温度の平均は47.1℃〜52.2℃までで違いが見られた。これらは厨房内室温や病棟室温との相関は認められなかった。また、天候、暖房の有無にも左右されなかった。 また、配膳時刻と喫食時刻の間の時間は1分〜6分であったが喫食時温度の低下は説明できなかった。 一方、配膳庫内温度は49.5℃〜60.8℃までの違いが見られた。 考察 今回の調査で喫食時温度と最も相関を持ったのは配膳庫内温度であった。この配膳庫内温度に影響を与えたものとして、温冷配膳車に入れた時刻の違いを考えた。最初は病棟の作業内容に問題があると考えていたが配膳庫内温度の差をみると、調理師の作業手順の中で盛付けの時間と配膳の順番が異なっていたことがわかりそのために軟飯の温度に違いが出たと思われる。今後も温冷配膳車に頼るだけでなく常に配膳管理の意識、改善を継続することの重要性を示唆された。
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© 2011 日本重症心身障害学会
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