日本重症心身障害学会誌
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P-2-C-16 在宅重症心身障害児(者)の養育者の生活の質に関する研究
牛尾 禮子郷間 英世池田 友美
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2012 年 37 巻 2 号 p. 333

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抄録
目的 本研究は、在宅重症心身障害児(者)の養育者の身体、精神、社会、環境的状況を明らかにすることである。 対象 重症心身障害児(者)を在宅で世話する養育者 方法 アンケート調査 調査用紙は、WHOQOL26(身体的領域、心理的領域、社会的領域、環境領域の26項目)、およびSF8(全体的健康感、身体機能、日常役割機能(身体的)、身体の痛み、活力、社会生活機能、心の健康、日常役割機能(精神)の8項目)を使用し、通所施設、および親の会を通じてアンケート用紙の配布を依頼した。調査紙の配布は、217名に行い、回収率は、38.7%であった。その中で、重症心身障害児(者)を在宅で世話する養育者48名を選出し、今回の分析対象とした。 結果 子の年齢は、21.67±8.33であった。支援学校在学中12名、通園、通所35名、無回答1名であった。WHOQOL26では、養育者を国民の平均値と比較すると身体的領域の満足感が低かった(2.83±0.54、標準値3.56±0.54)。痛みや不快感、医療への依存、疲労などである。次いで心理的領域が低かった。絶望、不安、落ち込み、思考、集中力などである。平均値と最も近値を示した項目は、社会関係、人間関係の満足感であった。SF8では、社会生活機能が最も低かった(39.90±9.91、平均値50.09±6.93)。次いで身体の痛み(41.62±8.03、平均値50.99±7.03)、日常役割機能(身体面)(42.58±8.82、平均値51.42±8.39)であった。また、通所、通園の親は、支援学校在学中の子の親よりも環境領域の満足感が有意に高かった(t検定p < 0.03)。 結論 重症心身障害児(者)の親の生活の質は、すべての項目において、国民の平均値より低い。特に、身体的領域に問題があり、子の世話に疲労しているといえる。
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© 2012 日本重症心身障害学会
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