日本重症心身障害学会誌
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P-2-F1-01 V-Pシャントに続発した腹腔内髄液仮性嚢胞の1例
平野 悟松田 悠子小池 牧子許斐 博史
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2013 年 38 巻 2 号 p. 366

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抄録
はじめに 脳室腹腔シャント(V−Pシャント)は小児の水頭症に対して広く行われている。その合併症として感染、チューブの閉塞、迷入、消化管穿孔等が報告されているが、腹腔内髄液仮性嚢胞は比較的まれとされる。われわれは重症心身障害児(者)病棟入院中に本症を発症した先天性水頭症の1例を経験したので報告する。 症例 患者は新生児期に頭囲拡大に気付かれ、先天性水頭症の診断でV−Pシャント術が施行された。生後1〜2カ月頃からてんかんの診断でバルプロ酸Naの処方が開始された。乳児期から著しい精神運動発達の遅れがあり、脳性麻痺(痙性四肢麻痺)・知的障害の診断を受けた。1歳から17歳までの間にV−Pシャント機能不全およびシャント感染のため10回以上のシャント再建術が施行され、最終手術では左右の側脳室に各1本ずつチューブが留置された。21歳時に家庭の介護困難を理由に当センターに入院。入院時、障害の程度は大島の分類1で、食事は経腸栄養と経口摂取の併用であった。頭部CTで著明な脳室拡大がみられた。26歳時、腹部膨満と嘔吐が出現し、画像検査で腹部の限局性の脳脊髄液貯留が認められ、腹腔内仮性嚢胞と診断された。開腹による貯留液の排液・腹腔側チューブの抜去と脳室外ドレナージへの切り替えが行われた。貯留液の細胞数増多が認められた。V−Pシャントの再建が図られたが、腹腔内の癒着が高度で腹腔側チューブを留置する部位をみつけることが困難であった。患者はその後敗血症のため死亡した。 考察 V−Pシャントに続発する腹腔内髄液仮性嚢胞の発症には、何回かのシャント感染やシャント再建術による腹腔内操作、嚢胞貯留液の感染などが関係している。本症例でも幼児期からシャント再建術を繰り返したことが要因と考えられる。シャント再建術を繰り返した症例に腹部症状を認めた場合は本症の可能性を考える必要がある。
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© 2013 日本重症心身障害学会
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