抄録
気道異物は反復性の肺炎や無気肺の原因となり、ときに致死的な状況にもなりうるため、早期の診断と摘出が望ましい。今回われわれは、気道異物の2例を経験した。1例目は、肺炎を契機として、歯石が左主気管支に誤嚥されていることを発見し、気管支鏡での摘出を試みたが、処置中に歯石が崩れて肺野の末梢に移動してしまい、摘出できなかった。その後、抗生剤投与によって肺炎の再発は無く経過した。歯石の誤嚥については、われわれの調べえた範囲では現在までに1例しか報告がない。不十分な口腔のケアは、口腔内細菌叢の悪化に伴う誤嚥性肺炎のリスク増加とともに、本例のような歯石誤嚥のリスクとなりうると考えられた。2例目は、永久気管孔に使用していた気管チューブが気管内に脱落し、約4カ月後に咳とともに排出されたが、この間明らかな症状を認めなかった。気管チューブが管空構造であり、気道を閉塞しなかったことが、無症状であった原因と考えられた。