日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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シンポジウム2:災害時の重症心身障害児(者)への支援
東日本大震災に学ぶ今後の教育的支援
櫻田 博
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2014 年 39 巻 1 号 p. 43

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抄録
Ⅰ.はじめに 私は、石巻支援学校長として勤務していたときに震災を経験し、児童生徒の安否確認や避難所運営、学校再開へ向けた取組を経て学校教育の復興等に向けた様々な取組を行った。震災では、4名の児童生徒が家庭で津波の犠牲になった。そこで、災害から障害がある子どもの命を守るために何が必要か?また、災害に対してどんな準備をすればよいのか?体験から学んだことを中心に報告したい。 Ⅱ.東日本大震災時の概要 1.被害状況     ① 児童生徒:4名が津波の犠牲、全壊・半壊:51名(157名の内、約3割) ② 教 職 員:全員無事、全壊・半壊21名(約2割) 2.避難所の運営 3/11~5/8(約2カ月)最大で81人(介護高齢者21人 在籍者13人) 3.学校再開日 5/12(学校再開まで心理的ケアを目的とした家庭訪問2回)  Ⅲ.まとめ  東日本大震災から学んだ教訓として次のことが挙げられる。  1.危機管理マニュアルの見直し ① 津波を想定した通学バス避難場所の指定 ②地区割り担当者の決定 ③災害用児童生徒名簿の整備(緊急時の連絡先一覧と避難場所の掲載) ④災害用備蓄品の整備(食料、発電機、ラジオ)・医療的ケア児童生徒の持ち出し物品の整備 ⑤体験的防災教育の推進(教育課程の編成、防災教育力の育成、SOSファイルの作成) 2.関係諸機関との連携 大災害時は、学校独自の力だけでは困難を乗り切ることはできない。普段から各学校が関係諸機関と協力関係を構築しながら連携を点から線へ(継続性)そして面へ(広域性)と拡充・発展させる必要がある。 3.障害児の理解・啓発 学校を積極的に公開するとともに、学校間交流や居住地校学習の深化・拡充を図りながら障害児の理解・啓発活動を充実させることが重要である。石巻支援学校では、PTAを中心に障害児の理解・啓発活動として「ハートバッチ運動」が展開されるようになった。 4.特別支援学校の役割 大災害時に障害児が地域の小・中学校等で避難所生活を送れることが最も望ましい社会の姿であろう。しかし、どうしても地域での避難所生活が立ちゆかない場合は、特別支援学校が最後の砦として避難所を開設する使命を担っていると考える。 5.学校の危機管理能力の向上 危機管理能力は、イマジネーション力である。不安感情をコントロールし、具体的・組織的行動力に変えていくことが、今学校に問われている命題である。
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© 2014 日本重症心身障害学会
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