日本重症心身障害学会誌
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シンポジウム4:地域生活と医療的ケア 快適に生きるための課題とこれから
地域生活と医療的ケア 快適に生きるための課題とこれから(座長抄録)
樋口 和郎船戸 正久
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2014 年 39 巻 2 号 p. 213

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抄録
2010年の本学会のシンポジウムは「在宅超重症心身障害児(者)への対応」と「NICUと重症心身障害児(者)施設(病棟)との連携」であった。重度化し増加してきた在宅超重症児への支援が最近ますます重要になってきている。その後の本学会のシンポジウムで、医療的ケア・超重症児・在宅支援がキーワードとして、繰り返し取り上げられてきた。急性増悪への対応を含めた地域での急性期医療、社会福祉施設による通所・短期入所などのレスパイトを中心とした在宅支援により、NICUあるいはPICUから在宅へ移行した超重症児が、本人・家族がともに安心して地域生活を過ごす方法が工夫されている。さらに診療報酬体系の改定により訪問診療・訪問看護など在宅医療が手厚く算定されるようになり、出前型の医療提供についても、熱意のある医療関係者により、レベルの高い医療サービスがしだいに増加している。本シンポジウムでは、この数年間の流れを見ながら、医療的ケアを必要とする重症心身障害児(者)にとっての現段階における地域生活の「課題」をとりあげた。この「課題」を現実的に正確に把握するため、主に関西圏で現場の最先端で活躍している4人のシンポジストをお願いした。4人は、常時医療的ケアを要する超重症児が地域生活を営む上で、不可欠の医療・福祉サービスを担っている役割(医療・福祉・教育の各三本柱;船戸)を現場で真摯に実践し、それぞれ「課題」を意識しながら「これから」に向けて展望を持って活躍されている。それぞれの三本柱は、1.医療;1)訪問看護・訪問リハ、2)かかりつけ医(訪問診療・往診を含む)、3)緊急時の受け入れ体制、2.福祉;4)ショートステイ・デイケア、5)医療的ケア対応の通所・訪問介護等、6)特定相談支援事業・地域支援ネットワーク、3.教育;7)教員による医療的ケア、8)学校看護師、9)医療的ケア必要児の特別支援教育そのもの、である。この中から重要性の高い柱を中心にして、まず2)の実践に取り組み、さらに1)と5)にも関連している「在宅症例の医療的ケアの実践と在宅支援の現状と展望」を南條先生にお願いした。次に4)の取り組みで、竹本先生に「超重症児等の短期入所:レスパイト+緊急保護など在宅症例の課題と将来展望」をお願いした。さらに6)の地域の総合的な取り組みとなる「地域のネットワーク・連携の包括的なまとめなど」について京都府での実践を三沢先生に紹介していただく。最後に8)「学校における医療的ケアの意義と現在の課題とこれから」について学校看護師の立場から発表していただく。学校における医療的ケアは教員あるいは文部科学省の立場からの発表は多いが、その要の職種である学校看護師の思い(熱意・喜び)をくみ取っていただければ幸いである。そして、それぞれの「課題」に関して「これから」ということばに希望をこめて、近い将来への展望を各シンポジストから課題解決への輝く光で照らしていただくことを期待している。また、シンポジウムの参加者からも大いにアイデアに富むご意見をいただき、「これから」に道を開く議論ができれば、この企画は成功といえるだろう。大勢の参加と発言により、「これから」さらに幸福で快適な地域生活がおくれるようになることを願っている。 略歴 樋口和郎(ひぐちかずお)1950年生。1977年信州大学卒業。東京女子医科大学小児科。信州大学第三内科(神経内科)、長野県厚生連富士見高原病院内科。1980~86年三重大学小児科、1986~2004年国立療養所鈴鹿病院、同三重病院、同静澄病院にて重症児病棟担当。2004年より三重県済生会明和病院なでしこ(重症心身障害児施設)施設長。 略歴 船戸正久(ふなとまさひさ)1950年生。1974年奈良県立医科大学卒業。淀川キリスト教病院小児科勤務、淀川キリスト教病院小児科部長(1983年)、淀川キリスト教病院副院長(2009年)。2011年より大阪発達総合療育センター重症心身障害児施設フェニックス園長、2012年大阪発達総合療育センター副センター長、南大阪小児リハビリテーション病院長  
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© 2014 日本重症心身障害学会
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