抄録
目的
口腔ケアは、歯や口の疾患の予防だけでなく、呼吸器感染症を予防するなど、抵抗力の弱い重症心身障害児(者)では特に重要である。開口の協力が得られず、激しい体の動きがみられ安全な口腔ケアの実施が難しい患者に対して、過敏除去の方法と口腔ケアに味覚・嗅覚・聴覚を取り入れたアプローチ行った。このことが患者にとって快の刺激となる口腔ケアであったか効果を明らかにする。
方法
対象:A氏 男性 24歳 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
既往:口腔ケア時にスポンジブラシの柄を噛み切り飲み込んだ
期間:2013年8月13日〜9月9日
方法:1.過敏部位の再評価 2.脱感作方法の統一 3.味覚(ブドウ味液体歯磨き使用)嗅覚(アロマオイルの使用)聴覚(本人の好む曲をかける)へのアプローチを取り入れた口腔ケアの実施 4.A氏の普段様子から表情・顔振り・開口の項目でスケールを作成し観察結果を分析し考察。
結果・考察
脱感作:実施中反応は、大きな変化はなかった。過敏除去はすぐに効果が出るものではなく毎日継続することによって効果が得られるため、継続して行っていく必要がある。
味覚:笑顔が見られた。ぶどう味はA氏の嗜好に合っており、嗜好に合う味を使用することで快の刺激となったと考える。
嗅覚:苦痛表情はなく、ほとんど反応は変化なかった。リラックス効果があったのではないか。リラックスして口腔ケアをうけることで快の口腔ケアにつながったと考える。
聴覚:顔振りは常に中等度だった。苦痛表情、笑顔共にみられたことから、快となる口腔ケアとなったとは考えにくい。
結論
1.28日間の脱感作は、過敏除去には至らなかった。2.嗜好に合った味を使用した口腔ケアは、快の刺激となる口腔ケアにつながった。3.嗅覚を刺激しリラックス効果を図りながら口腔ケアを行うことで快の刺激を得ることができた。4.A氏の反応から口腔ケア時の聴覚へのアプローチは快への刺激につながらなかった。