抄録
背景
2012年10月1日から障害者虐待防止法が施行され、障害福祉サービス事業者の責務が明確化された。重症心身障害児者(以下、重症児者)病棟をもつ当院では、すべての看護師が障害をもった患者に関わるが機会が多い。しかし、重症児者病棟と一般病棟ではどのような虐待を重要と考えているのかわかっていない。
目的
重症児者病棟と一般病棟の看護師では、障害児者虐待防止の観点から評価する虐待項目に違いがあるのかを明らかにする。
対象
重症児者病棟88人と一般病棟81人(循環器内科、呼吸器内科、神経難病、結核、外科)の看護師(准看護師含む)を対象とした。
方法
アンケート形式で調査した。5つの虐待項目(A:体罰、B:差別、C:プライバシーの侵害、D:人格無視、E:強要や制限)に、それぞれ重要度を記載した10枚のカードを作成し、それらのカードから好ましい順に1番から10番まで回答者に順序をつけてもらった。解析はコンジョイント分析を行った。
結果
重症児者病棟62人(70%)と一般病棟76人(94%)から有効回答を得た。年齢層別の看護師数は、重症児者病棟では50歳から59歳が多く、一般病棟では20歳から29歳が多かった。重症児者病棟の傾向は、A(42.9%)、D(18.2%)、B(14.8%)、E(13.0%)、C(11.1%)の順に評価が高かった。一方、一般病棟は、A(43.8%)、E(16.0%)、B(15.8%)、D(14.4%)、C(10.0%)の順であった。
結論
障害児者虐待を防止するために、両病棟看護師が最も高く評価した項目は「体罰」で4割を占めた。一方、両方で最も評価が低いのが「プライバシーの侵害」であった。重症児者病棟が2番目に高く評価したのが「人格無視」であったのに対し、一般病棟での評価は4番目と低かった。両病棟で評価の偏りや違いを明らかにすることで、問題点の改善に取り組みやすくなる。