抄録
はじめに
当施設では2008年度より、障害のある方の生活に触れ、日頃利用者に関わる多職種の役割を理解し、将来、障害の有り無しにかかわらず、患者の立場に立った医師になってもらうことを目的として、医学部1・2年生の全学生に対し実習を行っている。学生ひとりが利用者1人を担当し、1年生ではコミュニケーションをとる、2年生では様々な職種の職員との情報収集・意見交換を行った後、直接介助やコミュニケーションを行う実習である。施設の指導者がそれぞれの学生につき、コミュニケーションや直接介助について援助し学生の対象者の理解を支援している。この実習によって、学生や施設がどのように変化したかを明らかにする。
方法
2008〜2013年度医学部1年生、2年生の実習前後の学生のアンケート調査と実習発表会での学生と職員の発言内容、実習後の職員の振り返りについて分析した。
結果
学生のアンケートでは「ボランティアや実習・仕事をしたいか」の設問に対し、「思う」が1年次実習前54.8%、1年次実習後66.2%、2年次実習後67.6%と増加した。他設問においても実習後において障害児あるいは障害児施設に対しポジティブな感想がより増加する傾向にあった。発表会では、指導者は自己の支援観を持ちつつも、医学生の発言を肯定的に受け入れ、対象者のサイン等への気付きを促すような働きかけが多く見られた。振り返りでは、「まずは職員が実践してみせること」「学生の達成感を引きだす支援とは」等、学生の指導方法やその効果等について共有し、活発な意見交換を行った。
考察
医学生に対し、1・2年生という早期に重症心身障害児者施設で実習をすることにより、障害児(者)に対する意識の変化がみられた。また、施設の職員も、医学生を一人の人として、また将来一緒に働く仲間として、職種の垣根を超えた指導、支援を行う必要性を感じ、実践することによって、気づき、学びがあり、指導の質の向上が図れたと考えられる。