日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-1-D01 経口摂取再獲得に向けての取り組み
−経口摂取を願った兄とビールで乾杯できたね−
田村 由貴渡邊 香八屋 さとみ
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2014 年 39 巻 2 号 p. 248

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抄録
重症心身障害者は加齢とともに、嚥下機能の低下がみられ胃瘻を造設するケースが増えている。当施設の長期利用者においても、2012年までの過去10年間では全体の2割を超えている。2009年に胃瘻を造設し経管栄養に移行したA氏は、経口摂取することはほとんどなく、行事の際にでるケーキのクリームなどを舐める程度であった。以前から食事の話になると笑顔が見られ、食事に関心が強いと考えた私たちは、A氏は食べたい気持ちがあると仮定した。また兄も食べさせたい気持ちが強かった。今回、食べることを楽しみたいというA氏と兄の気持ちに向き合い、経口摂取再獲得に向けての取り組みを行った。ミキサー食を開始するにあたり、スタッフが評価しやすいように本人の顔写真を用いた快・不快スケールを作成した。A氏が食事を楽しいと感じているのかを評価するためにまず、経腸栄養剤のみの注入時の表情を2週間データ収集し数値化した。不快56%、無反応33%、快11%であった。ミキサー食の注入を併用しながら3食経口摂取できるようになった半年後には、不快5%、無反応は22%、快は73%と数値の変化がみられた。食に関心が強く人との関わりを好むA氏にとって、スタッフと食事の時間や会話を共有することが表情と数値の変化につながったと考える。なお、ミキサー食の経口摂取は医師、看護師、PT、STの評価により誤嚥のリスクもあるため1食の摂取量の上限は1/3量とし、残りは胃瘻からの注入とした。兄は、外泊時も家族と同じものをミキサーにし注入することで、以前にも増して楽しい時間を過ごすことができたと話された。誕生日にはビールを口から数口飲むA氏の笑顔が見られた。兄もまたビールで乾杯ができる日が来ると思わなかったと涙ながらに話された。
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© 2014 日本重症心身障害学会
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