抄録
目的
看護師1年目のときに退院に向けた家族支援を経験した。母親は児の障害を受け入れられず児と在宅で生活することをイメージするのが難しい状況だった。私は不安を抱えている母親に対し、どんな言葉をかければ良いか、どんな援助をしたら不安が軽減できるかが分からなかった。そこで母親に当時のことをインタビューすることで自身の看護を振り返り、また病状は落ち着いているが長期入院している児を持つ母親が抱えている思いについて明らかにしたいと考えた。
対象
分娩時の低酸素虚血性脳症による知的障害がある乳児を持つ30代後半の母親。
方法
入院中を1)新生児病棟から内科病棟に転科したばかりの時期、2)外出や外泊を行っていた時期、3)退院が決まった時期の3つの時期に分けて、各時期の母親の気持ちや看護師の関わりをどう感じていたか等についてインタビューを行い、カテゴリー化した。
倫理的配慮
インタビューを行うことを口頭で説明し、学会発表に関して文書を用い同意を得た。
結果と考察
1.新生児病棟から内科病棟に転科したばかりの時期
予期せぬ出産エピソードにより現実を受け入れられず絶望や自責の念を抱える一方で、他の家族の子どもへの関わりを通し、児に対する意識の変容があった。看護師が母親に寄り添うことや親の会で同じ障害を持つ患者の家族を紹介することは、母親の不安が軽減することにつながる。
2.外出や外泊を行っていた時期
児と一日中居られたことに対する喜びや幸福感を感じる一方で、自分達だけで児を看ることに対する漠然とした不安を感じていた。不安が軽減するまで外泊を行うことは退院後の生活がイメージしやすくなる。
3.退院が決まった時期
退院が間近になり在宅での生活が現実のものとなることで増大する不安を感じていた。看護師は障害の受容と慢性的悲哀について理解する必要がある。