抄録
目的
2012年4月から「社会福祉士および介護福祉士法」の一部改正により一定条件下で「介護職員等」による医行為(喀痰吸引・経管栄養)の業務としての実施が可能になった。本研究は現在のA県内の介護職員等による喀痰吸引等の実施の現状や問題点を把握することを目的とした。
方法
対象:A県障がい者支援課のホームページに記載されていた登録喀痰吸引等事業者登録簿(2013年12月1日現在)の32事業所の管理者
調査期間:2014年1月〜2月
調査方法:無記名式郵送法によるアンケート調査
倫理的配慮:研究の主旨・個人情報の保護、学会での発表などを文書で説明し同意を得た。所属機関の倫理委員会の承認を得た。
結果
32登録事業所のうち14事業所からのアンケート回答を得た。そのうち、4事業所はサービスの提供をしていなかった。理由として、「利用者の希望している時間帯に吸引のできるヘルパーの確保ができない」「看護師の業務でカバーできる」「体制整備ができていない」などであった。事業登録に関して「医師への文書指示や報告書作成」は、半数以上が困難感を持っていた。基準に関しては、安全委員会・物品整備・利用者家族への基準などへの困難感は少なかった。施設では、1号・2号・3号研修の混在があった。報酬への満足感は、どちらかというと満足しているが31%、どちらかというと満足していない/満足していないが23%であった。満足していない理由として「手間や事業所の経済的な負担が大きい」「医療度が高くリスクを伴う」などがあった。制度への意見としては、「事業所への経済的負担」「医療度が高くハイリスクの割には、メリットは少ない」「医療的ケアへの不安」「施設での看護師非配置への対処としての制度の活用の状況への不安」「社会の中での制度の認知不足」「入所施設への報酬不足」等があった。今後、事業所が無理なくこの制度を実践できるような支援を行う必要がある。