日本重症心身障害学会誌
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P-2-F41 排便コントロールが難しい重症心身障害児(者)にバウエルマッサージを行って
出島 千代実丸箸 圭子増田 佳枝
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2014 年 39 巻 2 号 p. 337

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抄録
はじめに 重症心身障害児(者)のほとんどは基礎疾患が特定できない非症候性の便秘である。原因には運動不足や、腹筋力低下や低緊張状態でうまく腹圧がかけられない。あるいは抗けいれん薬などの服薬の影響等が挙げられる。今回排便コントロールが難しい重症心身障害児(者)に便秘に効果的な方法として、バウエルマッサージを取り入れたのでその結果を報告する。 方法 1.対象は当病棟入院中の重症心身障害児(者)3名。 2.腹部のレントゲンから上行結腸、横行結腸、下行結腸の移行部位を医師に5カ所マーキングしてもらった。 3. 9時と19時に仰臥位でマーキング部位を呼気にあわせて3cmの深さで5カ所を順に5セット押した。 4.バウエルマッサージを取り入れる前後の排便状況を比較した。 結果 症例1は麻痺性イレウスであり、便秘2日目で浣腸を行っていた。バウエルマッサージを取り入れ浣腸の使用間隔が延び、持続して見られた腹部膨満は軽減した。症例2は便秘2日目で浣腸を行っていた。便の貯留が原因と考えられる発作があり、浣腸の他に摘便で排便を促していたが、バウエルマッサージを行うことで、浣腸の使用回数は減少した。症例3は便秘2日目で座薬を使用していた。座薬の反応便が少なく連日座薬を使用することがあったが、バウエルマッサージを取り入れたことで座薬の使用回数は減少した。 まとめ 便秘は腸閉塞を起こし生命の危険を招くことがある。がんのリスクも高まるなど身体への影響があるため、便秘の予防に心掛けていく必要がある。自己での排便コントロールが難しい重症心身障害児(者)は特に医療者による管理が重要となる。今回バウエルマッサージを取り入れたことで、浣腸や座薬の使用回数は減り便秘の改善に効果的であったと考えられる。今後も排便コントロールの有効な手段として、バウエルマッサージを行っていきたい。
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© 2014 日本重症心身障害学会
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