抄録
本研究では、重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))3名に対し、歌いかけやタッチングによる療育活動を定期的に実施し、継続して療育活動を行った効果について行動反応や心拍反応などから総合的に検討することを目的とした。療育活動は呼名および音楽呈示とし、その活動前後に体調等の評価、活動中における心拍変動や行動の様相のデータを磁気記録した。また、音楽呈示条件は歌いかけ、タッチング、歌いかけとタッチングとし、それぞれ60テンポと120テンポで行った。心拍変動の分析では、特に、歌いかけとタッチングの組み合わせで3名とも心拍減速反応が顕著であった。このことから音楽による療育活動は、歌いかけによる聴覚刺激とタッチングによる触圧覚刺激を併せて行うことが、刺激に対して気づきを促しやすいと推察された。また、個人差はあるものの重症児(者)の特定の行動表出が心拍反応と一致していた。このことは、療育者が重症児(者)の行動面から心的状況を推測できる可能性を示しており、このことを療育者が知ることで、適切な働きかけを行う手掛かりになると考えられた。