日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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一般演題
O-1-C01 超重症児における音楽刺激に対する脳血流の変化
−光トポグラフィーを用いての検討−
高橋 のぞみ影山 隆司熊倉 直美岩渕 政人小西 徹
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2016 年 41 巻 2 号 p. 223

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抄録

はじめに 先行の研究において超重症児(者)に対する光トポグラフィーは、聴覚、触覚、嗅覚、平衡感覚の刺激で脳血流の変化を認めた。その中で聴覚刺激における反応は最も良好であった。今回、音楽を聴覚刺激として曲調の違いで光トポグラフィーの反応に変化が現れるかを確認した。 対象 各種感覚刺激に対して表情、バイタルサインに反応が乏しい横地分類A1、もしくはA1-Cの5例。 方法 光トポグラフィー(日立ETG4000)を使用。音楽刺激としてテンポの違う2曲を選択し、それぞれ30秒提示し、60秒の安静を1クールとし、それを3回クール行い、1人あたり別の日で3回行い、その値を加算平均で評価し脳血流の変化を見た。 結果 1)5名中3名に光トポグラィーで反応を認めた。 ・ケース1:テンポの遅い曲では20秒後には左右の頭頂側頭部と前頭部で脳血流は増加し、その後、脳血流は低下した。テンポの速い曲では、開始直後から右頭頂側頭部から脳血流の増加を認め徐々に前頭部においても脳血流の増加を認めた。 ・ケース2:テンポの遅い曲では、開始直後、左頭頂側頭部で脳血流の増加を認めた。テンポの速い曲では、開始直後より前頭部の一部で脳血流の増加を認め5秒後には、前頭部の広い範囲で脳血流が増加し左右の頭頂側頭部でも、わずかだが脳血流の増加を認めた。 ・ケース3:テンポの速い曲では、開始直後に左頭頂側頭部で血流は増加した。 2)テンポの速い曲では、開始直後から血流の増加を認めた。また血流は一度低下するものの、再度増加を認めた。 3)テンポの遅い曲では全体的にゆっくりと増加する傾向を認めた。 4)血流の増加は、頭頂側頭部で始まり、その後、前頭部に広がる傾向が見られた。 5)前頭部と側頭部では同側に反応があり、そこから広がりを見せている。 結語 超重症児(者)でも曲調によって異なった反応を示していることが分かった。

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© 2016 日本重症心身障害学会
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