日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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一般演題
P-1-G05 医療型特定短期入所の利用状況について調査
−当法人のキャンセル事象に焦点をあてて−
佐々木 結美
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2016 年 41 巻 2 号 p. 270

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抄録

はじめに 「どんぐりの森」は医行為を必要とする未就学の重症心身障害児を対象とした医療型特定短期入所事業所で、日中一時預かりを行っている。同一法人内には訪問診療、訪問看護、居宅介護の事業があり、包括的なサービスを提供している。利用児は病態が不安定な子が多く、自宅や往診が必要となることや緊急入院のために利用がキャンセルになることがたびたびある。本研究では、当事業所のキャンセル率とその理由、キャンセル時における法人内の往診、訪問看護、居宅介護の利用状況を調査した。 方法 期間は平成26年10月から平成28年4月までの19カ月間とする。利用予定表および実績からキャンセル率を調査した。 また、キャンセル理由およびキャンセル時の法人内他サービスの利用の有無について調査した。 結果 キャンセル率は平均して19%(利用予定数1996件のうちキャンセル372件)であったが、月によって4%〜40%と大きく変動があることが明らかになった。 キャンセルの理由については体調不良35%、入院25%、病院受診5%、死亡7%、その他23%、不明2%であった。 キャンセル率が最も高かったのは平成27年6月の40%で、月間キャンセル数42件のうち17件が利用児2名の死亡によるキャンセルであった。 体調不良、病院受診によるキャンセルは全体で149件あり、そのうち法人内のサービスを利用したのは63%で内訳は往診34%、訪問看護31%、居宅介護9%であった。 考察 キャンセル率は利用児の病態により大きく変動していることが明らかになった。体調不良によるキャンセルの多くで法人内のサービスを利用していた。 結語 当法人では同一法人内のサービスにより短期入所のキャンセル時に利用児の在宅支援ができるという特徴があった。 今後は他の医療型特定短期入所との比較をするための調査をしていきたい。

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