2016 年 41 巻 2 号 p. 271
目的 当センターでは重症心身障害児(以下、重症児)の日常生活ケアの習得に向けてDVDを使用した研修を実施している。これは新人看護師が重症児ケアの特徴に応じたケアの考え方の一助となる目的で作成した。今回DVDの評価を行う目的で研究を行った。 方法 新人看護師の合同研修時に重症児ケアのDVDを視聴した10名に「DVDの評価」についてグループインタビューを実施。インタビューの内容を逐語録しDVDの評価につながる内容をコード化しカテゴリー分けを行う。 倫理的配慮 対象者には本研究の趣旨とプライバシーの保護について説明し同意を得る。 結果 DVDの評価として対象者へインタビューをした結果、16のサブカテゴリーから7つのカテゴリーを抽出した。対象者は【重症児の特徴から細心の注意を払うことが必要】であることを理解し、【重症児の特徴によって有効で安全な物品の使用方法】を視覚的に学習した。それらは数カ月病棟内でケアを行っている体験から【現場で体験しリアルな患者対応への理解】となっていた。さらにDVDを改めて見ることで、現場では気づかなかった【客観的な視点から理解できた実施者の暗黙知】を見ることができていた。今後<個別性や困難事例への場面>や<体格や年齢・発達段階別場面への希望>や<椅子への移乗場面>などの【重症児のケアとして今後希望する内容】、また<様々なアングルからの理解><危険性を踏まえた内容><安全意識向上>としての【重症児ケアとして重要な視点をより理解するため】の希望を挙げていた。 考察 DVDによる学習から、重症児の特徴から細心の注意を払ってケアすることと現場で行っていることの根拠づけができた。今後個別性や困難事例の場面、体格や年齢、発達段階別場面など重症児ケアとして重要な視点をより理解できるための内容をとりいれたDVDの作成を考えていきたい。