抄録
はじめに
重症心身障害児(以下、重症児)に作製する車いす、座位保持装置等においてバリアブル(可変式)機能を有するヘッドレストはなく、既存の固定式では、筋緊張が高い、不随意運動のみられる重症児の場合、ヘッドレストに顔を押しつけてしまい、不快を訴えることが多い。また、不快刺激がさらに筋緊張を高めてしまう悪循環に陥りやすい。今回、これらの問題を解決するためにバリアブルヘッドレスト(以下、VH)を開発したので報告する。
対象
VHを導入したティルトリクライニング式車いす,座位保持装置を使用中の重症児(脳性麻痺アテトーゼ型14歳、GMFCSV、大島分類4、喉頭気管分離術施行)1名を対象とした。
方法
車いす、座位保持装置を更新する際に固定式ヘッドレスト支柱(3CHO-BA)では、筋緊張亢進時に頭部・顔面左側面を押しつけて不快反応が多く、押しつけた際にフレキシブルに対応する可変構造の支柱を業者に依頼した。車いすはヘッドレストを2本の支柱で支えており、構造はウレタン棒を圧縮バネで包みシャフトホルダーに固定した。座位保持装置は1本の支柱で、構造はナイロン樹脂を圧縮バネで包みバネ取付金具で固定した。
結果と考察
VH完成後、筋緊張亢進時の不快反応がみられなくなった。そのため自宅や学校において座位姿勢で快適に過ごせるようになり、食事や授業に集中できるようになるなど日常生活に変化がみられた。これはVHが本人の頭部の動きに追従することで頭部〜頸部の支持基底面の変化が少ないためと考えられる。また、支柱にバネを加えているため元に戻ろうとする力が頭部のアライメント修正に作用している可能性がある。
まとめ
重症児が座位姿勢で過ごす際に頭部を支えるヘッドレストは重要である。しかし、固定式のヘッドレストでは快適に過ごせないこともあるため常にニーズに合わせたものを検討する必要がある。今回、開発に携わったVHが重症児の新しい支援方法となるように広めていきたい。