日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-2-F25 クリニックにおける重症心身障害児者の通院受け入れについての解析と連携方法の検討
藤岡 由夏雨宮 馨中村 由紀子小沢 浩
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2016 年 41 巻 2 号 p. 315

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抄録
はじめに 近年、在宅の重症心身障害児者(以下、重症児者)は増加している。一方で一般クリニック(以下、CL)への受診は困難とされる場合が多い。先行研究において重症児者の家族から一般CLへの受診の難しさや不安が聞かれていた。今回一般CLへのアンケートを行い、CL側としてどのような条件が重症児者の通院の可能性を拡大、もしくは困難にしているかを検討した。 対象・研究方法 八王子市内において小児診療を行っている、または重症児者の診療をすでに行っていた一般CL11施設へアンケート調査を行った。 結果 回収率は100%で診療科は延べ15科あり、内科系外科系がほぼ半数だった。11施設中、重症児者が通院しているCLは9施設であり、各CLにおける重症児者の受診人数は1〜16名、平均4.2名であった。約半数の施設がバリアフリーであった。診察時間は半数で通常の約2倍の時間を要し、7施設は重症児者の診察に困難を感じていた。今後新たな重症児者の受け入れは9施設が可能であり、そのうち2/3が事前連絡必要と回答した。ほとんどの施設で既往歴・ADLの情報を必要としていた。 考察 重症児者の診察は時間を要する場合が多く、他の患者への影響があることから多数の受け入れは難しいと考えられる。しかし予約の調節やスタッフ間の協力などの工夫で重症児者の診察を行っているCLもあり、今後の受け入れに関しても協力的な回答が多かった。重症児者の診察では、医師からの情報提供を必要としているCLも多い。受診する側・紹介する側の配慮が必要であり、保護者の理解や協力も不可欠である。また、受けたCL側が相談できる体制や依頼内容の明確化で協力が得られやすくなるのではないかと考えられる。地域CLの診療状況を調査することで、重症児者家族への地域診療体制の情報提供が可能となるため、引き続きアンケートを実施していきたい。
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© 2016 日本重症心身障害学会
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