日本重症心身障害学会誌
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Print ISSN : 1343-1439
一般演題
O-1-C26 多職種協働で開催した看護職者に対する小児医療的ケア実技研修会の実践報告
高木 園美林 佳奈子桶本 千史松田 瞳松澤 純子八木 信一
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2017 年 42 巻 2 号 p. 197

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抄録

はじめに 富山県では、平成27年度より医療的ケア児に対するケアの質の確保・向上を目指し、児に関わる看護職者を対象に、小児医療的ケア実技研修会を開催している。本研修会は、小児科医、理学療法士、看護師協働のもと開催しており、本報では過去4回の活動内容や成果、今後の課題について報告する。 活動内容 研修会は平成27年8月以降、年2回のペースで開催した。内容は、医師と理学療法士から、医療的ケア児の県内外の現状や、重症心身障害児の身体的特徴やケア方法、ケア実施時の注意点等に関する講義を実施した。また、医師と看護師の指導によるモデル人形を用いた医療的ケアの実技演習や、医療機器メーカの協働を得て、人工呼吸器の装着体験を行った。研修会の参加募集人員は毎回10名程度である。4回の開催による参加延べ人数は55名で、訪問看護ステーションや総合病院、特別支援学校等の看護師や養護教諭が参加していた。研修会終了後のアンケート(n=50)の自由記載には、「県内で講義と実技の経験ができる機会がなかったので嬉しかった。」「小児の在宅看護の経験がなかったので良い経験になった。」「看護師だけでなく支援学校の教員なども参加できるとよかった。」「今回の学びを臨床に活かしたい」などの意見があった。 今後の課題 本研修会に対する参加者からの意見はおおむね好評であり、毎回募集人数あるいはそれ以上の参加希望があることから、会の継続は重要である。また、医療的ケア児の成長に寄り添う看護職者以外の職種に対しても、知識や情報の共有・提供の場として、参加対象職種の拡大を検討することも求められる。より良い研修会の開催やその他の取り組みに向けて、参加者のその後の知識や技術の活用状況を評価するために、今後は追跡調査の実施についても考慮が必要と考える。

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© 2017 日本重症心身障害学会
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