日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-1-C27 在宅生活を支援する福祉施設職員を対象とした研修を担当して
樋口 滋深澤 宏昭早川 真由
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2017 年 42 巻 2 号 p. 197

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抄録

はじめに A市内には在宅生活を送っている重症心身障害児者が約100名おり、生活介護、居宅介護、共同生活援助など種々のサービスを利用している。今回、それらの福祉施設職員を対象に支援技術向上を目的とした研修を担当する機会を得た。研修は3回実施、第1回:身体のメカニズムと介助方法、第2回:ポジショニング、第3回:呼吸介助手技をテーマに行った。参加者の傾向や研修内容の満足度、参加者が得た学びを知るためにアンケート調査を実施した。 対象・方法 対象は研修会参加者。アンケートは同一内容で3回実施、研修終了後に参加者に配布し、同日全員分回収した。経験年数等の参加者情報、研修内容の満足度、印象に残ったキーワード、今後希望する研修の内容・要望などについて質問した。 結果 参加者合計141名のうち経験年数5年以下の職員が73名で51.8%を占めた。研修内容の満足度は項目すべてで「大変良い」「良い」が74〜98%となった。印象に残ったキーワードは、支持基底面、重心、圧中心、ポジショニング、変形、体位、ここち良さ、換気、呼吸介助が多くあげられた。自由記載欄は「初心者にも分かりやすい」、「実技が良かった」、「繰り返し受講したい」などの感想と「介護の現場に来てほしい」、「個々に合わせたアドバイスが欲しい」などの利用者個々のニードへの対応、「職員の腰痛予防」、「日常でできるリハビリの方法」、「摂食と嚥下」、「車いすの講義」などの今回テーマになかった内容について要望があげられた。 考察 研修は、福祉施設に勤務する比較的経験の浅い職員の知識と技術の向上の手助けとなっていた。キーワードは、理学療法士が持っている重症心身障害児者に関する基本的な知識や視点、関わる上での心がけに関するものが多く、それらが在宅生活を支援する職員に有益となることが示唆された。介護現場への介入、個別ケースへの助言などの課題も示された。

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