日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-1-E05 レスパイトケアを利用する養育者と看護師のパートナーシップ形成のプロセス
庭野 葵田中 美央
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2017 年 42 巻 2 号 p. 230

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抄録

研究目的 本研究では、レスパイトケアを利用する重症心身障害児者(以下、重症児(者))の主たる養育者と看護師のパートナーシップについて、看護師の認識を明らかにすることを目的とする。 研究方法 日常的にレスパイトケア利用時の看護を行っており、当該施設での経験が5年以上である看護師を対象に、半構成的面接による質的データ分析を行った。 結果 対象者は女性が7名、男性が2名で重症児(者)施設での平均レスパイトケア実施病棟勤務年数は9.4年であった。対象者の逐語録から得られたデータを読み返し、「レスパイトケアを利用する重症児(者)の主たる養育者と看護師のパートナーシップ」を分析テーマをとし分析した結果、25の概念が生成された。パートナーシップ形成に困難を与える看護師の認識として、5つの概念が見いだされた。 考察 レスパイトケアを利用する養育者と看護師とのパートナーシップの形成には、≪在宅でのケアを忠実に実践し、安全にレスパイトケアを終了する≫ための<レスパイトケア利用に伴う養育者の不安と児の特徴に応じた看護師の対応>が【養育者への安心の提供】というプロセス形成の基盤となることが見出された。これはほかのプロセスに影響を与えると考えられる。また今回、意図的なチームアプローチの重要性として、児の成長発達に応じた新たなケアの取り組みや、看護師が児や家族の将来を見据えた姿勢を形成していく点につながることが推察された。看護師と養育者の互いの不信感や信頼感の喪失、また勤務形態や養育者との関わりが少なく断片的であることがパートナーシップ形成困難に影響することが示唆された。 結論 「重症児者施設で働く看護師とレスパイトケアを利用する養育者のパートナーシップ形成における認識」として、25の概念が生成された。また25の概念から、パートナーシップ形成における4つのプロセスが見出された。

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© 2017 日本重症心身障害学会
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