抄録
ミトコンドリア脳筋症は、進行性の病気で徐々に神経、筋および全身臓器の機能低下を来す疾患である。今回、栄養管理に難渋しているミトコンドリア脳筋症の1例を経験したので報告する。症例は23歳、男性。15歳時にミトコンドリア脳筋症と診断され、脳卒中様発作の再燃と緩解を繰り返し、気管切開術と胃瘻造設術を施行され、在宅生活が困難なために複数の療養型病院で管理されていた。入所前は胃残が多ために中心静脈栄養されていたが、入所後はビタミン補充や栄養後のゆらし療法を取り入れることで経腸栄養に移行できていた。2019年2月にCT検査にて腸閉塞を認め、緊急開腹イレウス解除術を施行し、術中所見は明らかな狭窄部は認めなかったが、回腸は拡張し腸管壁は菲薄化していた。術後は原疾患の影響もあり、なかなか腸管運動が開腹せず、術後10日目に消化管穿孔を来し、緊急開腹術となった。菲薄化した回腸腸管壁の一部が穿孔し、腹腔内は汚染腹水を認めた。原疾患に加え、栄養状態も悪く、汚染腹水を認めており、穿孔部を含めた回盲部切除術後に回腸人工肛門造設術を行った。術後2週間目よりソリタ水+ぺプタメンの24時間経腸栄養を開始したが、回腸人工肛門のため便性が液状で、栄養剤がほとんどそのまま排泄されているため、とろみ付きぺプタメンに加え半固形栄養剤やミキサー食の併用を行っている。しかし、人工肛門からの排液量が多いため、定期的な輸液を必要としており、栄養管理に難渋している。ミトコンドリア脳筋症は、消化管内のミトコンドリア細胞の機能低下により消化吸収機能の低下を認めるため、消化過程がほとんど不要な乳清ペプチドを使用し、さらに消化吸収されやすいMCT(中鎖脂肪酸油)を多く配合したぺプタメンは有用と考えている。
申告すべきCOIはない。