日本重症心身障害学会誌
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O-23-01 排尿間隔延長がある重症心身障害者への関わり
石原 美月
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2019 年 44 巻 2 号 p. 403

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抄録
はじめに 健康な成人の1日の排尿は5〜7回とされているが、A氏、B氏は1日の排尿が2〜3回と少ない時があった。A氏は排尿間隔延長時に導尿の指示があり、5月だけで導尿を8回行っていた。長時間、膀胱に尿が貯留する事で、腹部膨満や膀胱炎になる可能性も考えられる。私たちは看護面でのアプローチで自然排尿を促す事ができないか考えた。今回温罨法を実施したので、その結果を報告する。 目的 導尿などの医療的処置を行わず、看護ケアで自然排尿を促す。 方法 排尿間隔の延長があり、前立腺肥大などの泌尿器に問題がない利用者2名を選出。 排尿間隔が8時間開いた時点で、仙骨部に温罨法を15分実施する。温罨法実施15分後に排尿を確認し、排尿がない場合、さらに30分後に確認する。入眠時は、温罨法実施時に覚醒を促す。温罨法の結果をカルテに記録する。 研究期間:2018年6月〜2019年1月 温罨法実施期間:A氏2018年6月〜11月、B氏2018年8月〜11月 結果 A氏:温罨法の回数42回。温罨法後の排尿7回。それ以降の排尿27回。導尿15回。 B氏:温罨法の回数21回。温罨法後の排尿2回。それ以降の排尿16回。追加注入1回。導尿2回。 考察 これまでは、排尿間隔延長時に導尿や追加注入を行っていた。今回の研究では、排尿間隔8時間で温罨法を実施し、自然排尿を促した。その結果、A氏の導尿回数は温罨法実施期間中減少し、未実施時は増加がみられた。しかし、温罨法を実施する際に、覚醒を促す目的で声掛けやタッチングを行っており、温罨法だけが自然排尿を促したとは言えない。温罨法に加え様々な関わりを行った事が相乗効果となり、A氏に関しては導尿回数の減少に繋がったのではないかと考える。 まとめ 排尿間隔延長がある利用者に対して、医療的処置を行う前に温罨法を含むさまざまな関わりを行う事が自然排尿につながったと考えられる。 申告すべきCOIはない。
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© 2019 日本重症心身障害学会
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