日本重症心身障害学会誌
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O-27-06 重症心身障害児(者)の水腟症とその危険因子
橋本 洋之児玉 和夫
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2019 年 44 巻 2 号 p. 417

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抄録
目的 水腟症は、重症心身障害児(者)(以下、重症児 (者))によく認められる。尿失禁と長期臥床による尿の腟内への逆流と貯留が原因と推定されるが、重症児(者)の水腟症の頻度、年齢、月経、活動性や下肢の障害との関連など不明な点は多い。また、同じく、重症児(者)での報告が多い腟結石との関連について推察する。 方法 当施設に入所する重症児(者)で婦人科検診を受けている20歳以上の女性23人に対し、水腟症の有無、腟内容液のpH、腟内細菌を調査した。水腟症の有無による年齢、月経、活動性、下肢の障害、腟内溶液のpH、腟内細菌との関連を比較した。 成績  平均年齢は45歳(22−60)、月経は16例(70%)に認め、17例(74%)が寝たきりであった。水腟症は4例(17%)に認め、腟内溶液は50%が中性またはアルカリ性であった。水腟性の有無で比較すると、平均年齢はそれぞれ42.5歳と46.5歳、月経は100%と74%に認め、寝たきりは75%と74%であった。腟内溶液のpHは水膣症では全て中性またはアルカリ性であったが、腟に液体の貯留がない場合は、90%が酸性であった。pHが8、9の症例からはそれぞれ、Klebsiella pneumoniae、Proteus mirabilisとウレアーゼ産生菌が検出された。 結論 重症児(者)は水膣症を認めやすく、排尿時、尿が腟へ入り込みやすいと推定された。また、水腟症にウレアーゼ産生菌の感染を認めると、膀胱結石と同様に腟内に結石が形成されると考えられた。膣への尿の逆流が続く場合は、定期的にカテーテルを用いた排液が必要である。 申告すべきCOIはない。
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© 2019 日本重症心身障害学会
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