2020 年 45 巻 1 号 p. 147-155
高等学校卒業後に日中活動の場である生活介護(以下、生活介護)へ移行するときの重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の母親への支援に関する示唆を得るため、母親が生活介護事業所の支援をしている職員(以下、支援者)にケア方法を説明する場面を中心に9名の母親に半構造化インタビュー調査を実施し、質的記述的分析を行った。その結果、母親の経験として【移行に向けての不安】【ゆずれないオーダーメイドケア】【支援者への要望】【移行による生活の変化】【利用しての効果】【わが子の生命を守るための日々】【生きている実感】が抽出された。生活介護へ移行するときの重症児(者)の母親への支援には、①知識や技術のみならず、重症児(者)と母親の経てきた歴史に寄り添う支援、②生活介護事業所における看護職のマンパワー充足による受け皿の拡大と送迎時間等の柔軟な運営、③放課後等デイサービスに相当するサービスの創設が必要であることが示唆された。