日本重症心身障害学会誌
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第4回看護研究応援セミナー
研究の芽を育てよう
石井 美智子倉田 慶子田中 千鶴子涌水 理恵名越 恵美濵邉 富美子
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2020 年 45 巻 1 号 p. 77

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抄録

臨床で日々の業務をされながら、研究に取り組まれている看護職のみなさまのお力になれればと始めたセミナーに、多くの方にご参加いただき第4回を無事終了致しました。 今年度は日々の看護実践の中の「気付き」を「研究」として発展させるため「研究の芽を育てよう」と題しまして、名越恵美先生(岡山県立大学保健福祉学部看護学科)をお招きし、「臨床での気付きをリサーチクエスチョンにするにはどうすればよいか」についてお話しいただきました。ご講演の内容を執筆していただいております。これから看護研究に取り組まれる方、研究の指導をされる方、みなさまにぜひお読みいただきたいと思います。 講演後のテーブルディスカッションには、これから研究に取り組もうとする臨床の看護師、研究を指導する立場や管理職、大学の教員など様々な立場の方25名が参加してくださいました。実際に臨床で研究する看護師からは、「テーマを決めることから迷い、誰に相談していいのかもわからない、手さぐり状態」「研究の時間がない」「研究のための研究になると継続できないので、興味を持って取り組みたい」等の意見が出ました。 指導者や管理職、大学の教員からは「やらされ感があり職員のモチベーションが上がらない」「気付きを前向きな研究につなげられるか悩む」「認定看護師はいるが、研究にはうまく機能していないので現状では期待できない」「日々の業務に追われ、文献検討などの研究をする時間がない」等が話されました。また、今後研究を支援していくためには、研究が楽しいと思えるような環境(職場風土)にしていく必要がある。そのためには研究経験のない若い看護師に対して「この現象をどう思うか、何が問題なのかというような実践上の疑問を考えるトレーニングが必要で、トレーニングにより看護師達が、研究の種を芽吹かせる風土が醸成されるのではないか。研究職と臨床にはそれぞれ得意な研究テーマがあり、互いに協力していくことができればさらに良い環境ができ上がる」等、前向きな意見交換ができました。 看護研究が看護の質を高め、研究の芽が大きく育つことを願っています。

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