抄録
目的
重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))Aセンターは、一般病院からの転入看護師(以下、転入者)が多い。生活病棟は、生活介護等が主体であり、転入者にとって未経験の分野で不安を感じやすい。一方、受け入れ側の看護師(以下、受け入れ側)は、受け入れに配慮が必要だと認識していても十分なフォローが出来ていない可能性がある。転入者と受け入れ側それぞれの思いを明らかにし、生活病棟における転入者の支援・指導のさらなる構築の一助とするため、研究したので報告する。
期間と方法
2018年11月〜2019年9月
生活病棟に配属された転入者3名と受け入れ側3名に半構成的面接法によるインタビューを実施。施設の倫理委員会の承認を得た。本研究は東京都重症心身障害プロフェッショナルナース育成研修での研究である。
結果
逐語録から、転入者から29コード、5カテゴリー、16サブカテゴリー、受け入れ側から28コード、5カテゴリー、17サブカテゴリーが集約された。【一般病院との相違】【日常生活を支える業務への戸惑い】【重症児(者)看護の看護師としての受容】【他職種との協働】の4カテゴリーについては、両者は同じような思いを持っていた。一方、転入者の【支援体制への期待・課題】と受け入れ側の【聞きやすい雰囲気づくり】では若干のギャップが見られた。
考察
転入者は、未経験の分野にリアリティーショックを受け、経験を生かせずストレスが生じていた。また、受け入れ側の支援の存在が大きいと感じつつ不安と不満を感じていた。受け入れ側は、自身が大切にしていることを教えたいという思いが高じ「指導のおしきせ」が生じ、詰込み型の指導となっている現状が考えられた。転入者が一般病院との違いを理解した上で自身の看護経験を発揮できるよう、受け入れ側がケアや業務の根拠を丁寧に説明し、継続的に指導することが重要であることが示唆された。申告すべきCOIはない。