抄録
成人脳性麻痺者は、運動機能障害の増悪により身体活動量が低下することが知られているため、成人脳性麻痺者の座位行動および身体活動を調査し、粗大運動能力の影響や体脂肪率、部位別骨格筋量、骨密度との関連を検討した。対象者は成人脳性麻痺者23名とし、粗大運動能力分類システム(Gross Motor Function Classification System: GMFCS)Ⅰ-Ⅱ群とⅢ-Ⅳ群に分類した。成人脳性麻痺者の1日あたりの座位行動時間、低強度身体活動量、中高強度身体活動量、体脂肪率、部位別骨格筋量、骨密度を測定した。GMFCSレベルⅢ-Ⅳ群はⅠ-Ⅱ群と比較し、座位行動時間が長く、低強度、中高強度身体活動量が低下していた。また、下肢骨格筋量、骨密度も低値であった。成人脳性麻痺者の座位行動と上肢骨格筋量、座位行動および低強度、中高強度身体活動は、骨密度と相関関係を示した。座位行動時間を減少させ、身体活動量を増加させる生活指導は、骨密度の維持、向上に貢献する可能性が示唆された。