日本運動器看護学会誌
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人工股関節全置換術の術後歩行能力に対する 術前下肢筋力トレーニングの有効性
池田 鮎美渡部 節子斉藤 邦子坂本 裕美
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2017 年 12 巻 p. 52-

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抄録

人工股関節全置換術(以下THA)の術後歩行能力に対する術前下肢筋力トレーニングの有効性を検討す る目的で,初回THAを受ける患者を対象に調査を行った.調査ⅠでA群は術前3ヵ月前より下肢筋力トレーニ ング(足開き,膝伸ばし,足上げ,お尻上げ)を開始し,B群は従来通りに術前トレーニング未実施とした. その結果,A群はほとんどの症例で術前の下肢筋力は開始後1ヵ月でピークとなったが,入院時には筋力が低 下し,術前下肢筋力トレーニングの有効性は認められなかった.そこで,別の患者を対象とした調査ⅡではC 群は術前1ヵ月前より,1回の回数及び1日の回数を減少させ,さらにトレーニング内容も外転筋力増強に向け て「足開き」を中心に「足挙げ」の2点に絞って下肢筋力トレーニングを実施し,D群は調査Ⅰと同様にトレー ニング未実施とした.その結果,調査ⅡではC群の全症例で下肢筋力は入院時にピークとなったが,術後の歩 行能力に対する有効性は認められなかった.尚,下肢筋力の評価は,患肢及び健肢における下肢伸展挙上筋 力と股関節外転筋力を徒手筋力計マイクロFET(株式会社日本メディックス)で計測した.以上より本研究に おいて,術前下肢筋力トレーニングは筋力増強になるもののTHAの術後歩行能力に対する有効性は認められ なかった.

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© 2017 日本運動器看護学会
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