日本運動器看護学会誌
Online ISSN : 2435-001X
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本邦における人工股関節全置換術の術前皮膚準備方法と 術後手術部位感染との関係
渡部 節子武田 宜子高島 尚美五木田 和枝大重 賢治
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 4 巻 p. 68-75

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抄録

我が国初めての人工股関節全置換術の術後手術部位感染予防のための術前皮膚準備方法の実態を全国的に把 握すると共に,術後手術部位感染との関係を検証することを目的に, 1,967施設を対象に記名自記式質問紙調査 を行い, 618施設より有効回答を得た.その結果,身体保清は612施設(99%)で実施していた.除毛は205施 設(36.3%)で実施し,そのうち179施設(87.3%)が病棟で実施し,用いた器具は電気バリカンが69施設(33.6%) と最も多かった.皮附消毒は493施設(79.8%)で実施し,そのうち321施設(65.1%)は手術室のみで,用い た消毒薬はグルコン酸クロルヘキシジンが58施設(29.9%)と最も多かった.過去1年間の手術部位感染は80 施設で133件発生し,感染率は1%であった.手術部位感染と,身体保清材料,除毛の有無及び方法,皮団消毒 方法・回数・消毒剤の種類消需部位の被覆との間にはいずれも有意差はなく,従来実施されていた厳重な術前 皮膚準備を肯定するエビデンスはみられなかった.

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© 2009 日本運動器看護学会
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